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論文要旨

Uono, S., Sato, W., Kochiyama, T., Kubota, Y., Sawada, R., Yoshimura, S., & Toichi, M. (2017). Time course of gamma-band oscillation associated with face processing in the inferior occipital gyrus and fusiform gyrus: A combined fMRI and MEG study. Human Brain Mapping, 38, 4, 2067-2079.

他者の顔の情報は素早く効率的に処理される.顔処理の第一段階を担う脳部位が下後頭回か紡錘状回のいずれか,またそれぞれの領域がどのような役割を果たすのかについては2つの仮説が存在する.1つ目の仮説は,下後頭回が顔の各部分の処理を行い,紡錘状回で顔全体の構造が符号化されるという階層的なネットワークを想定するものである.2つ目の仮説は,下後頭回が損傷を受けても紡錘状回における顔選択的な反応や顔と他の物体の区別が保持されることから,紡錘状回が顔処理の第一段階を担い,精緻な視覚処理を行う下後頭回との相互作用を通じて顔の全体的な表象が精緻化されるというものである.どちらの仮説が正しいかに検討するために,fMRIとMEGを組み合わせて,顔・家を受動的に観察している参加者の脳賦活および脳磁図を計測した.下後頭回と紡錘状回が顔の部分処理と全体処理のいずれに関わっているか調べるために全体処理が阻害される倒立画像も合わせて呈示した.最初にfMRIを用いて,顔と家に対する賦活を比較し,顔選択的な活動を示す領域として下後頭回と紡錘状回を同定した.次にMEGを用いて測定されたデータから電流源を再構成して時間周波数解析を行い,下後頭回と紡錘状回における各周波数帯域のパワーの時間特性について調べた.その結果,右下後頭回において,正立した顔に対して家よりも強いガンマ波活動が刺激呈示後約100msで生じ,続いて右紡錘状回において正立顔に対して家よりも高いガンマ波活動が刺激呈示後約170msで生じることが示された.この結果から,顔処理の第一段階は下後頭回で行われ,紡錘状回がその結果を受けとることが示唆される.次に,200ms付近で右紡錘状回と右下後頭回での正立顔に対する活動が並行してみられ,この時間帯以降で倒立顔と成立顔の差が生じることが示された.このことから,顔の全体処理は下後頭回と紡錘状回での相互作用を通じて行われることが示唆された.まとめると,下後頭回が顔の各部分の処理を行い,その後に紡錘状回と精緻な視覚処理を行う下後頭回の相互作用を通じて全体的な表象が精緻化されるという2つの仮説の折衷的な顔処理モデルが支持された.


関連論文

Sato, W., Kochiyama, T., Uono, S., Matsuda, K., Usui, K., Inoue, Y., & Toichi, M. (2014). Rapid, high-frequency, and theta-coupled gamma oscillations in the inferior occipital gyrus during face processing. Cortex, 60, 52-68.  

 

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