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論文要旨

Uono, S., Sato, W., Michimata, C., Yoshikawa, S., & Toichi, M. (2009). Facilitation of gaze-triggered attention orienting by a fearful expression and its relationship to anxiety. Psychologia: An International Journal of Psychological Sciences, 52, 188-197.

ヒトは表情から他者の情動を、視線方向から注意の方向を知ることができる。この2つの情報を組み合わせて行動に利用することが重要であるが、この相互作用は状況によって変化する可能性がある。本研究では、表情・視線処理の相互作用に不安が与える影響を調べるために、視線による反射的な注意シフトという現象を用いた。実験では、恐怖および中性表情の視線を呈示し、直後に現れる物体に対する反応時間を測定した。物体が視線とは逆方向に現れる条件と同じ方向に現れる条件の反応時間差を、視線による注意シフトの指標とした。状態不安高群・低群を比較したところ、状態不安高群ほど恐怖表情の視線手がかりの効果が大きくなることが示された。また、状態不安高群では恐怖表情の視線による注意シフトがより素早く生じている一方で、状態不安低群では恐怖表情の視線が向いた位置からの注意の解放が早いことが示された。この結果は、危険が予測される状況では素早い注意シフトを可能にし、安全な状況では自身の行動を他者に左右されにくいという適応的なメカニズムを不安が調整する可能性を示唆している。


関連論文

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2009). Dynamic fearful gaze does not enhance attention orienting in individuals with Asperger's disorder. Brain and Cognition, 71, 3, 229-233.

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2009). Dynamic fearful expressions enhance gaze-triggered attention orienting in high and low anxiety individuals. Social Behavior and Personality: An International Journal, 37, 10, 1313-1326.

Sato, W., Kochiyama, T., Uono, S., & Yoshikawa, S. (2010). Amygdala integrates emotional expression and gaze direction in response to dynamic facial expressions. NeuroImage, 50, 4, 1658-1665.

 

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