Publications
TOP Seminar Publications Presentations CV Links  
 

 


論文のリクエストは下記のアドレスにお願いします。

E-mail
uonoshota1982 <at> gmail.com

 


 
論文要旨

Uono, S. , Sato, W., & Toichi, M. (2010). Brief report: Representational momentum for dynamic facial expressions in pervasive developmental disorder. Journal of Autism and Developmental Disorders, 40, 371-377.

他者との表情コミュニケーションの障害はASDの対人相互作用障害の主要な特徴の一つである。しかしながら、先行研究では特定の表情の認識障害を示す研究もあれば、定型発達者との差が明らかでなかった研究も多く、矛盾がみられる。そのため、他者との表情コミュニケーションにどのような問題があるのかは明らかになっていない。問題点の一つとして、先行研究では静止画が用いられてきたことがあげられる。日常場面での社会的相互作用に重要なのは動的な情報である。定型発達群での先行研究の結果から、動的な表情では静止表情と比較して、認識、情動反応、自動的な模倣などが促進されることが知られている。顔の動的な情報の処理の問題がASD群の対人相互作用障害の原因の一つである可能性が考えられる。

本研究では、表象モーメントという現象を用いて、ASD群の動的表情処理に問題があるかどうかを調べた。表象モーメントとは、移動する物体が突然消失すると消失した位置よりも移動方向に行き過ぎた位置にあったと判断される現象である。同じような現象は表情の変化においても生じることが示されている。具体的には、静止画表情と比較して動画表情では、消失したときの表情(本研究では80%)がより強い表情であったと知覚されるということである。

実験の結果、ASD群においても表情の種類に関わらず動的表情の表象モーメントが生じることが示された。この結果は、ASD群も他者の表情の運動からその後の表情変化を予測可能であることを示している。

(後続の研究ではASD群でのみ弱い表情においてこのような現象が生じにくかった。ASD群では実際の表情よりも強い表情を知覚する傾向が弱いことから、ASD群では弱い表情の検出や情動反応の準備が遅れることで円滑な対人相互作用が阻害されている可能性が考えられる)


関連論文

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2014). Reduced representational momentum for subtle dynamic facial expressions in individuals with autism spectrum disorders. Research in Autism Spectrum Disorders, 8, 9, 1090-1099.

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2015). Exaggerated perception of facial expressions is increased in individuals with schizotypal traits. Scientific Reports, 5, 11795.

 

Copyright © Shota Uono All Rights Reserved.
テンプレート by ネットマニア