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論文要旨

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2011). The specific impairment of fearful expression recognition and its atypical development in pervasive developmental disorder. Social Neuroscience, 6, 5-6, 452-463.

他者との表情コミュニケーションの障害はASDの対人相互作用障害の主要な特徴の一つである。しかしながら、特定の表情の認識障害を示す研究もあれば、定型発達者との差が明らかでなかった研究も多く、先行研究では矛盾がみられる。表情認識の障害があるか、どのような要因が先行研究の矛盾を説明するかは明らかになっていない。先行研究では参加者が特定の年齢の者に限られており、発達的な視点からの研究はほとんど行われていない。また、定型発達の研究から表情認識能力に影響することが示されている参加者の基礎的な視覚処理能力や社会的障害の重さの影響も調べられていないことが多い。本研究では先行研究における矛盾の原因を明らかにするために、表情認識の基盤となる顔認識能力、社会的機能障害の重篤さ、参加者の年齢が表情認識能力に与える影響について調べた。

実験の結果、ASD群では恐怖表情の認識成績が定型発達群と比べて悪いことが示された。恐怖表情の認識障害はASDのサブタイプ(アスペルガー障害と特定不能の広汎性発達障害)に関係なくみられたため、ASD全般に共有された特徴であると考えられる。また、定型発達群では顔認識能力の発達に伴って恐怖表情の認識能力が向上することが示唆されたが、ASD群ではこのような関係はみられなかった。さらに、ASD群では社会的機能の重篤さ、特に社会的刺激への注意の障害と恐怖表情の認識成績との間に負の関係があることが示された。この結果から、顔への注意の低下や顔の視覚処理の問題がその後の社会的認知機能の非定型発達をもたらす可能性が考えられた。また、子供では群間の差が成人ほど明瞭でないことから、先行研究の矛盾の原因として実験参加者の年齢の違いがあげられる。


関連論文

Uono, S., Sato, W. & Toichi, M. (2013). Common and unique impairments in facial-expression recognition in pervasive developmental disorder-not otherwise specified and Asperger's disorder. Research in Autism Spectrum Disorders, 7, 2, 361-368.

Uono, S., Sato, W., Kochiyama, T., Kubota, Y., Sawada, R., Yoshimura, S., & Toichi, M. (2017). Neural substrates of the ability to recognize facial expressions: A voxel-based morphometry study. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 12, 3, 487-495.

Uono, S., Sato, W., Kochiyama, T., Kubota, Y., Sawada, R., Yoshimura, S., & Toichi, M. (in press). Putamen volume is negatively correlated with the ability to recognize fearful facial expressions. Brain Topography.

 

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