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論文要旨

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2014). Reduced representational momentum for subtle dynamic facial expressions in individuals with autism spectrum disorders. Research in Autism Spectrum Disorders, 8, 9, 1090-1099.

表情をコミュニケーションの手段として用いることの障害は、社会性の障害を主症状とする自閉スペクトラム症(ASD)の主要な特徴の一つである。しかし、表情の認識を調べた先行研究では障害の有無に矛盾があり、表情処理にどのような問題があるかは明らかではない。その理由として実験刺激に静止画が用いられてきたことがあげられる。日常場面では、動的な情報はその変化パタンからその先を予測することを可能にするという点で極めて重要である。また、定型発達者では静止画と比較して動画表情に対する情動反応や自動的な模倣などさまざまな機能が促進されることが知られている。このことから、顔の動的情報の処理の問題がASDの対人相互作用障害の原因の一つである可能性が考えられる。

本研究では、ASD群の動的表情処理に問題があるか調べるために表象モーメントという現象を用いた。これは、動画表情を観察しているときには実際よりも強い表情が知覚され、表情強度の増幅の程度が静止画表情よりも大きくなるという現象である。参加者はさまざまな表情強度の動画・静止画表情を観察し、観察した表情と同じ強度の表情画像を選択するよう求められた。実験の結果、両群において呈示された表情は実際の表情よりも強いものとして知覚され、動画表情において増幅効果はより強く生じていた。しかし、ASD群においては呈示された表情の情動強度が弱い場合に動画表情の表情強度が増幅して知覚されにくく、そのような人ほど対人相互作用の問題が重篤であることが示された。ASDでは顔の動きからその先の変化を予測することが難しく、弱い表情の検出や情動反応の準備が遅れることで円滑な対人相互作用が阻害されると考えられる。


関連論文

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2015). Exaggerated perception of facial expressions is increased in individuals with schizotypal traits. Scientific Reports, 5, 11795.

Uono, S., Sato, W., & Toichi, M. (2014). Reduced representational momentum for subtle dynamic facial expressions in individuals with autism spectrum disorders. Research in Autism Spectrum Disorders, 8, 9, 1090-1099.

 

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